フォアフット走法の誤解
前回は一般的に考えられている着地の仕方(ヒールストライク、ミッドフット、フォアフット)について紹介しました。
皆さん色々なお考えをお持ちのようですが、誤解をされていることが、多いと感じました。
ちなみにマラソンランナーの有森裕子さんはこのように仰っています。(日経Gooday 2018.1.9)
「ミッドフット走法」の特徴は、足裏の真ん中辺りで着地し、足裏全体で地面を押すイメージで蹴り出すことです。足裏全体で衝撃を吸収するため、体幹が安定し、上下動が少なくなるとされています。エネルギーのロスが少ない分、スピードが上がると言う人もいます。
一方、かかとから入る「ヒールストライク走法」で走る日本のランナーは多く、地面からの反発力を推進力に変えて走ることができるといわれています。「フォアフット走法」はアフリカのトップランナーに多く、最もスピードが上がる走法ですが、足への負担も大きく、骨格や筋肉、腱のつき方が彼らとは異なる日本人が習得するのは難しいとされています。
……と簡単に説明しましたが、私自身、現役時代に足裏のどこで着地するかといったことは、ほとんど意識しませんでした。
様々な考えがある中で、運動学の観点から考えると以下の点は誤解されている部分かと感じます。
①衝撃が少ない=負担が少ない、ではない
②接地時間と負担は比例しない
③負担がかかる部位は人によって異なる
の3点です。
今日は①について解説したいと思います。
皆さん、衝撃=負担と考えている方が多くいらっしゃると調べていて分かりました。なので最も衝撃の少ないフォアフットが良いのではないかと。しかしフォアフットはアフリカ人独特の走法で、日本人には合わないのではないかとの意見が多くありました。
確かにヒールストライクよりミッドフットが、さらにフォアフットが衝撃が少ない走法だと思います、それは皆さんと同意見です。しかし衝撃が少ないということは、相対的に筋活動が増加しているということになります。
ちょっとイメージしてみましょう。「その場でジャンプして下さい」と指示を受けたとしましょう。着地の衝撃でドスンと音が鳴ったとします。「では今度は音が鳴らないように着地して下さい」と指示を受けます。すると音が鳴らないようにつま先の方での着地、いわゆるフォアフットになっていませんか?
ジャンプの高さや動作方法によっても異なりますが、つま先にかなり力を入れて踏ん張るパターン、膝を深く曲げて踏ん張るパターンのいずれかの方法をとっていませんか?この時、ふくらはぎや太ももの負担はいかがですか?
分かりづらければ、反復してみてください。疲労していくのが(筋活動が増加している)、分かると思います。
運動学的にいうと、接地面積が少ないほど衝撃を分散できないため、負担がかかります。その衝撃を筋肉の支えによって(筋活動を増加させて)、補っているということになります。
ですから、フォアフットは衝撃が少ない分、筋活動が高く、身体には負担のかかる走法と言えることになります。
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